皆さん、
「遠近法」
というのは聞いたことがありますか?
もしかすると、
中学校の美術の時間に習ったかもしれません。
遠近法とは、
遠近感があるように見せるための表現方法
のことです。
実際は、紙の上での表現なので近いも遠いもありません。
ただそう見えているだけです。
いわゆるトリックアート的な視覚効果と同じ。
遠近法を覚えると
絵が上手く見せたり、
迫力を出せたりできます。
今回は、初心者の方にもなるべくわかりやすく、使いやすい
遠近法をまとめたので、ぜひ実践してみてください。
遠くのものほど小さく描く
まず始めに
大小遠近法
から。
初心者のうちは、難しいことは考えずに
遠くのものほど小さく描くと遠近感が出る
くらいに覚えておくといいです。
これは、遠近法の中でも定番なので、
知っていて実践されている方も多いかと思います。
例えば、道路がだんだん狭くなっていくとか。
電柱が奥に行くにつれだんだん小さくなっていくとか。
人がずっと奥にいることを表現したいなら、
手前にいる人よりも小さく描くことで表現できます。
物の重なりで遠近感を出す
次に紹介する遠近法は
重畳遠近法
です。
言葉で説明するよりも
上の画像をみてもらった方がわかりやすいかと思います。
名前だけ聞くと何やら難しそうですが、考え方は簡単。
物の重なり合いの関係で遠近感を出します。
奥にある物が、手前にあるものによって
一部隠れて見えないように描くことで、
奥行きを出します。
風景だとあえて手前側に枝を大きく描くことで
簡単に遠近感を出すことができます。
空気遠近法
次は
空気遠近法
です。
普段見慣れている風景でも実際に起きている現象なので、
理屈で覚えるよりも感覚的に覚えた方が覚えやすいです。
遠くの山を見た時のことを
思い出してもらえればわかりやすいかと思います。
基本的に、
遠くのものほど空気の層が厚くなるので、
ぼんやりと淡く見えます。
そして青みがかっていきます。
遠くの山のように
はるか遠方まで遠近感が出るように表現する技法なので、
風景画に用いられることが多いです。
ちょっとわかりづらいので、詳しく見ていきましょう。
①遠くへ行くほど青みがかって見える
これも理屈よりも感覚で覚えた方が覚えやすいかと思いますが、
例えば、遠くの山は青く見えたことはありませんか?
それを絵でも同じように、
遠くに行けば行くほど青みを強くしましょう。
が、しかし、注意点があります。
厳密にいうと、遠くのものが青く見えるのは
遠くのものほど大気の色に近づいているから。
つまり、青空の時は青色に近くなりますが、
夕焼けの時は赤色に近くなるということです。
ただ、晴れた昼の景色を描くことが多いので、
覚えやすいように遠くのものは青みがかると覚えた方が覚えやすいです。
②遠くのものほどぼんやりする
ちょっと難しい言葉を使うと
コントラストが弱く淡い色になる
ということです。
これも、
遠くの山を見た時のことを思い出していただけたらと思います。
遠くに行けば行くほどくすんだ色になり、ぼんやりする。
明るい場所と暗い場所の明暗の差が
あまりないように描きましょう。
特に
早朝などの霧やもやがかかっている風景を描く時は
顕著に表現しましょう。
ここで注意したいのは、
影に使う色も淡い色にすること。
決して近景の影よりも強くしてはいけません。
不自然な感じが出てしまいます。
色彩遠近法
次に
色彩遠近法
をご紹介いたします。
下の2枚の絵を見比べてもらいたいです。
どちらの三角が手前に見えるでしょう。
赤の三角の方が手前に見えませんか?
赤は暖色と呼ばれ、暖かく見える色
とされています。反対に、
青は寒色と呼ばれ、冷たく見える色
とされています。
そして、
暖色の方が寒色よりも前に出て見えます。
これは、
暖色は膨張色で実物よりも大きく見え、
寒色は収縮色で実物よりも小さく見える
性質による物です。
先ほどの空気遠近法と合わせて、
遠近感を出したい時は遠くのものほど青く描く
と覚えても良いでしょう。
では最後に、これはどうでしょうか?
白の方が手前に見えませんか?
そうです。
明るい色の方が暗い色よりも前に出て見えるのです。
以上、
本日は初心者でもわかりやすく、
すぐ実践できそうな遠近法について説明いたしました。
ぜひみなさん試してみてください。